待ち望んでいた芦花公園さんの新作「とらすの子」を読了!
今回の話を読んでどう感じたかネタバレなしで書いていくよ(最後にネタバレありの感想もあり)
とらすの子
芦花公園さんは2021年に「ほねがらみ」でデビューした新進気鋭の作家さん。
ホラーやオカルト要素強めの作品がほとんどで、私も含めそういうジャンルが好きな人にはたまらない小説ばかり・・・!
今回は小説家志望の売れないライター坂本のもとに全国で発生している異様な連続殺人事件の真相を知る人物が現れるところから物語が始まります。
真相を知るという少女はこの殺人事件はマレ様率いる「とらすの会」が主犯だと暴露する。
しかし、坂本の目の前で突然少女が異様な死を遂げてしまう・・・
坂本は真相を記事にして一発当てようととらすの会に近づくが・・・
という内容です!
いきなりマレ様という超インパクト大な人物が出てきて、日常では味わえない異様な世界観に飲み込まれていきます。
そしてタイトルにもなっているとらすの子って誰?とらすって何?っていう謎も読むにつれて徐々に分かっていくんだけど、この少ーしずつ判明していく感覚がなんかぞわぞわして癖になる笑笑
なんか知りたいけどほんとのことを知ってしまったら自分にも不幸が降りかかってくるんじゃないかって思わされるいや~な感じ。
個人的に読んでて面白かった部分は途中で登場したとある男性の日記。
この物語の元凶が記されていて、一人の男性がある出来事をきっかけに書き始めた日記なんだけど。
ん?これっておかしくない?これって・・・みたいな違和感があってどんどん不幸な出来事が起こっていく。
でも本人は不幸の原因を深く考えようとしないで目をそらしている感じがもどかしい。
この日記は物語の謎に深く切り込んでいくから、いやな感じがして読み進めたくないけど手は止まらない。
本を読み得た後にもう一度読み直したくなる日記でした
そして物語の結末も個人的にはかなり好き!
結末次第では物語全体の面白さが一気に冷める。そんな作品も多いと思うけどこの結末は納得。
やはり本は最後の最後までしっかり読まないとなと思わされる展開。
本全体でもあっ、そうなるの?!みたいな展開が何カ所かあって読んでて飽きないし、読んでて楽しかった!
過去作との比較
芦花公園さんは2021年にデビューされたばかりということで今からでも過去作を全制覇できる!
私は本屋でタイトルとあらすじに惹かれて買った「異端の祝祭」から読み
その後続編の「漆黒の慕情」
デビュー作「ほねがらみ」
今回の「とらすの子」
という流れで読みました。
関連性としては「異端の祝祭」と「漆黒の慕情」は直接的に繋がっていてメインキャラクターが同じ!
ほねがらみはその2作とメインキャラクターは違うが同じ世界線で起こっている話です。
そして「とらすの子」もメインキャラクターは今作初登場ですが、過去作と同じ世界線で起こっている話でした。
つまり芦花公園さんの物語は全て同じ世界線で起こっている!
おそろしい・・・怪奇現象発生しすぎてびびりな私はこんな世界では生きたくない笑笑
でも読んでるだけなら、同じ世界の話だとふいに過去作に登場した人物の謎も垣間見れて面白いですよね!
今回の話は「異端の祝祭」「漆黒の慕情」に出てくる佐々木るみさんと青山くんというメインキャラクターが出てこないのでお茶目なやり取りとかポップさはゼロ。
物語の最初から最後まで鬱々とした雰囲気が漂っていて、物語の展開におびえながら読む感じ。
個人的に「ほねがらみ」っぽさがあるけど、ほねがらみよりも設定や文体が読みやすかったです!
芦花公園さんの魅力
個人的に芦花公園さんの話の面白いところは「人外のものと対峙したときの圧倒的な絶望感」だと思っていて。
もはや神なんじゃないかと思うくらい圧倒的な力を持った闇とただの人間が向き合ったときの「あぁ、最初から勝ち目なんて無かったんだ」と絶望するあの感覚。
でも闇って書いてるけどあっち側はただただ純粋に自分が求める世界を追求してるだけというスタンスで、余計にどうにもできない。
こんなんどうしようもないやんっていう。
そういう絶望感を味わいたい方は「とらすの子」含め、芦花公園さんの作品はおすすめです!
既に読んだ!という方は芦花公園さんが「とらすの子」の後日談をカクヨムというサイトに投稿されていますのでぜひぜひそちらも読んで頂きたいです!
芦花公園さんの作品が好きな身からしたら激アツ展開で読む価値あり!
以下のリンク先からとべます。
さらに感想(ネタバレあり)
ここからはネタバレありの感想というか疑問とかについて。
読了後の方なら共感してくれる方もいるんじゃないでしょうか。
今回の話は人間の醜さが突出してた作品だったと思いました!
自分の手を汚さずにマレ様という人外の手を借りて嫌いなやつを殺していく犯罪者集団 通称とらすの会
って感じでとらすの会が出てくるシーン人間の憎悪みたいな部分がいっぱい出てきて読んでていやな気持ちだった~笑笑
確かにとらすの会に集まった人たちは辛かったと思う。
けど、憎んでいた人を殺害できるって分かった瞬間に
自分は変わってないのにさも自分が強くなったかのように
ちょっとぶつかっただけの人さえも殺してしまうのは違うだろってなったね~
しかもみんなが崇拝していたマレ様も結局、一般人かよ!?ってなってとらすの会はすっごく気持ちの悪い組織だったんだなと思いました
一方、希彦は最初から最後まで自分の理想の世界を追い求めているだけの純粋な闇って感じがして好き!
希彦視点のシーンでも彼は悪意なく今回の事件を引き起こしていると思う。(いや、悪意はあるか?)
最後の最後に報われなかった白石ちゃんでさえも、希彦が悪いのではなく彼に関わろうとしたこと自体が間違いで白石ちゃんの責任だと思ってしまうような。
他の警官が言っていたように関わってはいけない人物だったんだな。
結局、希彦はなぜ井坂くんをそこまで愛していたかは分からずじまいかも。
どういう経緯で井坂くんとの関係性が深くなっていったかは分かるけど、そんなに希彦を魅了するような魅力が井坂くんにあったか?という感じ。
まぁ、そもそも凡人には魔女の考えなんて理解しきれないか!っていう結論に至った。
でも後日談まで読んだ方にぜひお聞きしたいんですがあの後、井坂くんはどうなったんでしょうね。
あのまま死んでいたら少し面白みに欠けるようなきもするし、かといって健康体に戻っていたらそれはそれで納得できない笑笑
個人的には生きてはいるけど永久に目を覚ますことのないように封印がかかった状態になってしまって、その封印を解くために希彦が苦しんでいたら萌えます笑
さらに怒り狂った希彦が物部さんと頂上決戦してくれたらぜひ観戦させてほしい!
という感じでだらだらと書いてしまいましたが、私は芦花公園さんの作品が好きなので次作もとても楽しみです!
これからも圧倒的な力で読者を絶望させてほしい笑笑
ここまで読んで頂いた方ありがとうございます!
また面白かった本について語るので良ければ見ていってください~(^^)
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