今回は読んですぐに、個人的に今年読んでよかった作品ランキングにランクインしたキムリゲットさんの『グレイス・イヤー:少女たちの聖域』を読んだ感想を紹介します!
あらすじ
16歳の少女たちの生死をかけた通過儀礼がいま、はじまる ガーナー郡に住む16歳のすべての少女は、危険な魔力を持つとされ、森の奥のキャンプへ一年間追放される。少女ティアニーが、謎に包まれた通過儀礼〈グレイス・イヤー〉でのサバイバルの果てに見た真実。『侍女の物語』×『蠅の王』のポスト・ディストピア小説
5.0/5.0
わたしがこの作品を読もうと思ったきっかけは表紙の少女でした。
本屋さんで表紙の少女の鋭い眼光を見てから、ずっとこの作品が忘れられなくていつか読みたいと思っていたんです!
読み終えた後にもう一度、表紙の少女を見てみるとこの作品のキーワードとなる赤いリボン、花も描かれていて改めて素晴らしい表紙だと実感できました
感想
とにかくすごかった!間違いなく2023年に出会えて本当に良かった作品です。
読み終えた後の余韻がすごすぎて、頭の中が色んな考えでぐちゃぐちゃでしばらくぼ~っとしてしまいました。
もう少し、詳しく内容を説明すると・・・
主人公ティアニーが暮らす地域では、女性の最大の罪は役に立たないこととされています。
女性は生まれたときから厳しい制約のもと育てられ、成熟したときに町の男に選ばれて男の子を宿すことが人生の全て
寝ているときに夢を見ることすら許されず、罰を受けるような環境に、ティアニーは疑問を抱いていました
そしてこの町の女性たちにとって最も重要な通過儀礼<グレイス・イヤー>
16歳になった少女たちは、次第に魔力を持つと言われており、その魔力を解放するために町から離れた森で少女たちのみでの共同生活を強いられます
グレイス・イヤーを生き延びて町に変えてこれるのはわずか半数以下
それ以外の少女はキャンプ圏外に潜んでいる狩猟者によって捕らえられたり、暴走した魔力によって身を滅ぼしてしまう
遂にティアニーもそんなグレイス・イヤーを迎えることになり・・・
といった内容です
物語自体は1年間の話なのですが
一人の女性が差別や偏見に屈せず、命がけで困難を乗り越えて信念を貫き通していく様子が描かれていて、人生を垣間見たような壮大さです
主人公のような壮絶な環境におかれたことはないはずなのに
過去に感じた不快感や本音で話せない感覚、女だらけのコミュニティでの1シーンなど共感できる部分があって、いつの間にか主人公に感情移入していました
周りには敵ばかりで、恐怖、嫉妬、怒り、不安、暴力など絶望的な状況だけれど、その中でも一部の登場人物たちの優しさや慈悲の心に気づいたときに希望が見えて泣きそうになる
この物語は架空の町での話だけど、ここに描かれている出来事は現代でも違う形で起っていることだと思いました
性別に限った話ではなく、全ての人が同じ権利を持って我慢を虐げられることのない世界になってほしい、そのために私もティアニーのように強く賢い愛のある人になろうと思える素晴らしい一冊です!
印象的なフレーズ
・視線は神に ー中略ー 女たちの首に縄が食い込むとき、最後に目にするのがこの言葉だった。なんて残酷なんだろうといつも思っていた。首の骨が折れているのに、視線を上に向けることができるわけがない。死ぬときになってもなお期待に応えられないのがわたしたちなのだ
・彼女はひどくありがたそうにするが、こんなことーふつうの人間として扱われることーをありがたがる必要なんてないのだ。わたしたちのだれひとりとして
・年を取ることへの恐怖、男の子を産まないことで味わう屈辱。女たちはいくつもの傷を抱え込んでいるから、それが口から滑り落ちないように、歯をつねに食いしばっていなければならなかった。
まとめ
この作品は2023年本屋大賞翻訳小説部門で3位を獲得しています。
さらに読み終えたときに、壮大すぎてスケール感が映画!と思ったんですが、現在、映画も制作中らしいです!
この素晴らしい世界観がどのように落とし込まれるのかそちらも楽しみです!
海外小説が苦手な方でも読みやすい翻訳で、とにかく展開が気になって一気読みしやすい作品でした
気になった方はぜひ読んでみてください(^^)
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