育児放棄を題材にした小説 美輪和音作「ウェンディのあやまち」を読んだ感想 おすすめ本

先日、美輪和音さんの「ウェンディのあやまち」を読んで、かなり衝撃的だったので感想を記していきます
次に、何を読もうか迷っている方の参考になれば嬉しいです

あらすじ

二人の幼児が自宅に置き去りにされ、一人が餓死するという事件が発生した。
物語に登場するのは、客の男にのめり込む恋愛体質のキャバクラ嬢、女優としてドラマ出演のチャンスが舞い込んだ女、自分を痛めつけるように働き続ける清掃員の女……。
三人の女を繋ぐ、幼児餓死事件の真実とは――。
人間の業を抉る衝撃のノンストップ社会派ミステリーが待望の文庫化!

評価 4.0/5.0

この物語ではある幼児餓死事件に焦点を当てて進んでいきます。

現実世界でもニュースで親の育児放棄や虐待によってまだ幼いこどもたちが無惨な姿で発見されたという報道を見かけますよね。
この物語ではなぜそのような痛ましい事件が発生してしまうのか、なぜもっと早くその子たちを助けることが出来なかったのかについて思い知らされます。

幼いこどもが親から1ヶ月以上も育児放棄をされて、その間どのように生きたのか、何を思っていたか、それでも親の愛情を求めてしまう気持ちとやるせなさを想像して、心がしんどくなります。

ページを進めるのが辛くなっても、私はこの事件に関わった人物の結末を知らなければいけないという一心で読み終えました

この物語ではタイトルにあるようにウェンディやピーターパンが出てきて
自身も子どもでありながら故郷でもネバーランドでも幼い子供たちの母親役をするウェンディや
身体は成長しても誰よりも好奇心に溢れており時に衝動的な行動をとってしまうピーターパンに
登場人物たちが例えられています

ウェンディの無償の愛は自身に向けた刃となりうるし、ピーターパンの好奇心は「現実」を放棄した無責任な大人を生み出してしまうと感じました

印象に残った言葉

「親になったからといって完璧な大人になれるわけではなく、どんな親にも子供の部分はあるのだということが。そして、闇のない子育てはないということも」

「それだけたくさんの人が異常を感じていたのに、どうして誰もなにもしなかったんでしょうね。なんか世も末って気がしますよ」
「いや、たくさんの人が異常を感じていたからこそ、なにもしなかったのかもな。逆に周りに一軒だけしか家がなければ、そこの住人が通報し、助けられていたかもしれない」

「あの少女が早く大人にならざるを得なかったとすれば、その原因をつくったのはおそらく、あの姉弟のすぐそばにいる大人になりきれない大人たち、ということなのだろう」

コメント

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